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仙台市・山形市のツインシティ構想 [地域振興]

山形市と仙台市におけるツインシティ構想は、仙台都市総合研究機構、荘銀総合研究所、河北新報社で構成する仙山圏交流研究会による「仙山圏交流フォーラム」の中で取り上げられている。山形市経済圏と仙台市経済圏における交流活性化を目指したものだ。当研究所においても山形経済の活性化に向けた一方策として山形市と仙台市のツインシティ構想を考えていきたい。

元々、ツインシティとは、ミネソタ州のミネアポリスとセントポールの2つの都市を指し、ミネアポリスが政治、セントポールが経済と、それぞれが州の中心となっており、互いに分業してミネソタ州における政治・経済の相乗効果を上げている。大きな構図でみるとアメリカ自体がワシントンとニューヨークという政治と経済の中心を分けている状況にある。しかし、一方、日本においては、山口県下関市と福岡県北九州市の関門海峡を挟んだ2都市がツインシティとして両都市で同様の関門景観条例を施行し関門海峡の景観を大切に保護していたり、青森県青森市と北海道函館市が青函ツインシティとして両都市における施設の共同利用や産業経済での連係など主として交流を基本としたツインシティを形成していたりと、アメリカにおける分業体制という側面はもっていない。その他にも、神奈川県の相模川の両岸にある寒川町と平塚市のツインシティで、ここでは東海道新幹線の新駅誘致や相鉄線の延長などを共同で行っていくことも目的に上げられており、ツインシティの形成要因は県土のバランスある発展となっている。

では、山形市と仙台市によるツインシティでは、どのようなことが目的となりうるのだろうか。そして何を実現できるのであろうか。アメリカの場合、2都市は同じ州の中の2都市であり、政治と経済の中心を分けて互いの相乗効果を発揮できる体制にあるが、しかし、日本においては他県都市間において行われており、分業体制をとることは今のところ不可能である。仮に道州制になり同じ州の中という一つの統治機構に組み込まれた場合には話は異なってくるが、おそらく道州制になっても政治機構が山形市、経済は仙台市という体制にはならないであろう。日本の国として東京一極集中という構図になっており、道州制になった場合には仙台一極集中となる可能性が高い。では、山形市と仙台市間においてどのような関係を築くことが互いに相乗効果を発揮することができるのであろうか。調査によると山形市から仙台市を訪れる人(通勤・通学を除く)の主たる目的は買い物であり、市街地における遊びがメインである。逆に仙台市から山形市を訪れる人の主たる目的は蕎麦等の食べ物や自然に触れる等がメインとなっている。その人数は圧倒的に山形市から仙台市を訪れる人のほうが多く、買い物等に費やす金額も大きく仙台市における経済効果は大きい。まるで日本から海外への人数が海外から入ってくる人数より圧倒的に多いのと類似する面がある。このことは、また改めて観光産業のテーマとして扱いたいが、互いに相乗効果を発揮できないようではツインシティとしての位置付ける意味がない。山形市と仙台市の2都市の特徴としては、他都市と違いこの2都市は両方が県庁所在地で距離が近いということである。それゆえに県都として発展していなければならない山形市がもうひとつ活気がないのは上記したように、より発展している仙台市に顧客が流れている面がある。では、この県庁所在地が近いことによるメリットはどのようにしたら享受できるのであろうか。今後、このような側面も含めて山形市と仙台市のツインシティ構想の目的や相乗効果要因について考え山形経済の活性化につなげていきたい。

(編集後記)
仙台市は伊達政宗が築いた都市であるが、政宗の母親は山形市に本拠を置いた最上家の出であり、互いの都市は親戚都市ともいえる。仲が悪かったというのが痛いところであるが、関が原のときは最上家の支援に回っているので水に流すということで。政宗は父親が米沢市、母親が山形市と完全な山形県人であり、その家臣で宮城県白石市の片倉小十郎もまた山形県人である。このような歴史的な背景からも山形県と宮城県の関係は深く、より交流を深めていければと考える。関が原の後、政宗が徳川家康との密約通り伊達郡(福島県)、信夫郡(福島県)、長井郡(置賜地域)を領有していたら現在どのような都市が形成されていたのであろうか。置賜地域にとって貧しくとも上杉藩の藩都が米沢に置かれたことがよかったのか、伊達100万石の一部分となったほうがよかったのであろうか。「歴史のif」の一つである。

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