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山形交響楽団による音楽都市構想 [地域振興]

2010年5月15日付の週刊ダイヤモンドに「美術・アートビジネスの舞台裏」という記事があった。この記事によると、日本人は世界でも美術好きとして知られており、世界の展覧会入場者数ランキングの1位~4位を日本が占めたそうである。また地方の美術館は地域活性化の起爆剤となりうる観光資源にもなっており、金沢の「金沢21世紀美術館」などは年間150万人を超える入場者数を誇っているそうだ。その他にもミシュランガイドで三つ星に選ばれた「飛騨高山美術館」や島根県安来市の「足立美術館」など、小都市の美術館でも高い人気を得ているところがあり、特に山陰の地方都市にある足立美術館では営業部を設置し観光客を増やす活動を行うなど、積極的に新たな観光資源を生み出すことに努力している。

このように、日本人のアート好きという面をうまく活用して地域の活性化につなげる手法は、山形県の地域振興にも非常に参考になるのではないだろうか。ただ、山形県には、「山形美術館」があるものの、上記のような特徴のある美術館とは言えない。現在各地で多くの美術館が新設・リニューアルされる中で、今後特徴を出して行くには、非常に難しい。

そこで、私が注目したいのが、「音楽」である。山形県には、約40年の歴史を持つ「山形交響楽団」(通称、山響)がある。山響は、小さな地方都市の日本一小さい交響楽団でありながら、音楽監督の“飯森範親”氏を中心とした取り組みで、現在全国の音楽ファンから注目を浴びているようだ。その詳しい過程は、最後に関連書籍に載せた「マエストロ、それはムリですよ」に書かれてるので、ぜひ読んで欲しい。

今後、山形市が「音楽都市」を目指すためには、よりいっそう山響のファンを拡大する必要がある。ただ山形県は保守的な風土なので、まず全国にファンをつくり山響の定期公演により多く足を運んでもらうような取り組みが大切である。県外からの評価を上げて山形県民を刺激し、「音楽都市」を確立してはどうだろうか。また、大きなイベントの開催や常設の音楽ホールの建設、子供・学生への授業など、行うべき取り組みは多い。そして、上記雑誌に掲載されている東京都千代田区の「相田みつを美術館」のインターネットの活用やグッツの販売など多様な経営手法で収益力の強化を図っている例は、今後参考にできる取り組みである。

この「音楽」を中心とした地域づくりを行い山形県を文化都市としてのイメージに定着させるとともに、歴史資源や独特の食文化など、既存の県内観光資源との相乗効果で地域活性化を大きく盛り上げて欲しい。将来的に、世界から音楽好きが集う都市となることを期待したい。

(関連書籍)

(主任研究員)Copyright ©Yamagata Research Institute
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